みぎいろ!

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【感想】なぜハクソーリッジが沖縄戦だと宣伝しなかったのか?※ネタバレあり

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A TRUE STORY

真実の物語

 

そう言われても、スクリーンに映し出されたものが”史実”だとはなかなか信じきれなかった。

 

戦争映画において、心から感動しただなんて叫ぶことはできない。ましてやハクソーリッジの舞台は沖縄だ。

 

たくさんの日本人とたくさんのアメリカ人が殺された。今まで見た全ての戦争映画が子供騙しに見えるくらい、ハクソーリッジの戦争シーンは壮絶だった。

 

良心的戦闘拒否者

軍法会議

アメリカ軍から見た沖縄戦

 

ハクソーリッジはたくさんの"初めて"を運んでくれた。

アカデミー賞「編集賞」「録音賞」の2部門を受賞。

 

A TRUE STORY

この映画が傑作でないはずがない。

 

 

 

ハクソーリッジ あらすじ

 

デズモンドとドロシーの出会い

 

映画は主人公・デズモンドの少年時代から始まる。

 

兄のハルと楽しそうに森の中を走り回るデズモンド。父であるトムは第一次世界大戦で心の傷を負ってしまい、戦後は酒浸りとなっていた。

 

ある日、ハルとの兄弟喧嘩中に渾身のパンチを食らったデズモンドはとっさにそばにあったレンガでハルを殴ってしまう。

 

意識を失うハル。

「人の命を奪うこと以上に重い罪はないのよ」

母の言葉を胸に、デズモンドは「人を殺してはいけない」と強く認識するようになる。

 

 

月日は流れ、すっかり大人になったデズモンド。

ある日、車の下敷きに男を助けて向かった病院で看護士のドロシーと恋に落ちる。

 

初めて人を救う喜びを知ったこのシーンで活躍したのは止血用のベルトと、かって弟を殴ったレンガだった。

 

"昨日会ったドロシーと結婚するんだ"

楽しそうに語るデズモンド。常識ではありえないが、こんなに幸せそうだと応援したくなる。

 

“You are belt man.”

デズモンドを見て、ドロシーが思わず発した言葉が面白い。

 

「献血をした後、心臓のドキドキが止まらないんだ」

「君って最高にかわいいね」

 

キザなセリフを連発するデズモンド。

ドロシーとデートを重ね、幸せな時間を過ごしていた。 

 

入隊するデズモンド

 

第2次世界対戦が激化し、友人が次々に戦場へ向かう。

デズモンドも「衛生兵であれば自分も国に尽くすことができる」と陸軍に志願する。

 

「兵士は人を殺すが、お前には無理だ」

元陸軍の父は反対する。

 

「私にプロポーズしないつもり?」

ドロシーも当然反対するが、デズモンドの信念は変わらない。

 

「聖書よ、心臓の上に置いて」

聖書と中に挟まれたドロシーの写真を手に、デズムンドは軍に入隊する。

 

 

良心的兵役拒否者

 

グローヴァー大尉の部隊に配属され、厳しい訓練を受けるデズモンド。

 

体力テストでは好成績を残すが「米国政府からの贈り物」である銃だけは絶対に触れない。

 

「戦争は人を殺すことだ」

グローヴァー大尉が説得するも信念を曲げないデズモンド。

 

「俺の隊にいる限り、俺の命令に従え」

「戦場では絶対に頼りにするな」

「お前は臆病者だろ?」

 

上官や兵士たちから嫌がらせを受け続けるが、デズモンドの決意は揺るがない。「除隊しろ」と何度言われてもそれだけは譲らない。

 

「彼の宗教観は珍しいが、除隊の理由にはならない」

デズモンドの扱いに困る上官たち。

 

 

結婚式より大切なもの

 

デズモンドの結婚式の前日、ライフルの訓練を終えないと休暇を与えないと宣告される。

しかし、それでもライフルを持とうとしない。

 

上官の命令を拒否したデズモンドは軍法会議にかけられることとなった。閉じ込められ、結婚式にも出席できず発狂するデズモンド。

 

このままだと軍法会議で刑務所行きは確実だ。

後日、面会に訪れたドロシーから「持つだけでいいのよ、撃つ必要はない」と説得されてもデズモンドは譲らない。

 

「信念を曲げたら生きていけない」

デズモンドの想いに心を打たれたドロシーは「あなたはそのままでいて」と励ます。

 

 

軍法会議

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軍法会議にかけられたデズモンド。

多数の上官に対し、デズモンドの弁護人はひとりだけ。

 

裁判を行う前から結果は明らかだった。

 

「上官の命令を拒否したことを認めるか?」

司法取引により除隊処分で済む選択肢もあったが、デズモンドの決意は変わらない。

 

真珠湾攻撃に衝撃を受けた。仲間が軍隊に入れずに自殺した。他の人が苦しんでいるのに家にいることはできない。殺し合いの中で一人くらい助けるものがいてもいい。

 

初めて陸軍に志願した理由を語ったデズモンド。

しかし判決は無情。

 

裁判の決着がつきそうになった時、突然デズモンドの父が現れる。そう、デズモンドの入隊を拒否した父だ。

 

父が持っていたのは「良心的兵役拒否者の権利は憲法に守られている」と書かれた上官からの手紙。

 

こうして訴えは取り下げられ、デズモンドは正式に衛生兵として活動できるようになった。

 

ハクソーリッジへ

 

1945年5月。デズモンドは沖縄にある前田高地に向かった。切り立った150mの絶壁がのこぎり(=Hacksaw)に見えたことからハクソーリッジと呼ばれた崖は沖縄攻防戦の最激戦地であり、先発部隊が6回登って6回撃退されている。

 

突撃を前に、戦艦からすさまじい砲撃が始まる。

どうみても日本軍は全滅したように見えるが、約150mの絶壁を登ると、容赦ない日本軍の攻撃を受ける。

 

絶えることのない銃弾。爆撃。

デズモンドは負傷者を助けようと飛び回るが、あっという間に死んでいく兵士たち。

 

「奴らは死を恐れない」

必死で立ち向かってくる日本兵に圧倒されるアメリカ軍。

 

僕に何をしろと?

分かりません?

 

手当のしようがない重傷者ばかりの戦場で無力感を感じるデズモンドだが「Help me」の声に向かって、爆撃の中をとびこんでいく。

 

「ハクソーから退却しろ」「今日1日で3個の大隊が消えた」

日本軍に圧倒され、退却を余儀なくされるアメリカ軍が、デズモンドは一人残って救出活動を続ける。

 

重傷者をハクソーリッジの崖まで運び、ひとりづつロープで降ろしていく。

 

神様、もう1人助けさせてください。

 

いつ日本兵に襲われてもおかしくない緊張状態の中、命を救い続けるデズモンド。その中にはグローヴァー大尉や日本兵の姿もあった。

 

"誰にもできないことをやってのけた"

75人もの命を救ったデズモンドを讃える上官。

 

"お前は奇跡を成し遂げた。明日また崖を登る。ハクソーリッジで勝つにはお前の奇跡が必要なんだ"

 

デズモンドが認められた瞬間だった。

その後、攻勢を強めたアメリカ軍の前に日本軍は降伏。

 

仲間を救い続けたデズモンドがハクソーリッジから担架で降りるシーンは天国に登るようだった。

 

 

その後、ハクソーリッジでの功績が認められ、最高の勲章を与えられたデズモンド。

ドロシーが亡くなるまで幸せに暮らした。

 

 

ハクソーリッジの感想

 

映画「ハクソーリッジ」で強烈に印象に残っているのは壮絶な戦場の舞台。

 

戦争というものがあそこまで壮絶なものとは思わなかった。スクリーンを見ながら、何度も何度も「早く終わって」と願った。

 

でも銃撃戦は絶え間なく続く。戦場に平穏などない。自分があんな場所に突撃するんだったら、気が狂って特攻するかビビって全く動けないかのどちらかだろう。

 

銃弾や爆撃が飛び交う中、顔を少し伸ばすだけで命を失う危険がある。だからこそ"衛生兵"に徹したデズモンドには価値がある。

 

あの戦場の中、丸腰で移動するなんて無謀にもほどがある。せめて護身用のナイフくらいは持つべきだ。

 

「正気じゃない」

映画の中で何人もの兵士がデズモンドをこう称したが、"適切な言葉"だ。

 

日本兵はとにかく恐ろしかった。砂煙によって視界が遮られる中、正確な射撃を行ってくる。頼もしく感じたし、怖さも感じた。誤解を招くかもしれないが「同じ日本人」とは思えなかった。

 

人を殺して良いのか?

戦争映画では頻繁に扱われるテーマだ。

 

普通の戦争映画では主人公が葛藤するが、デズモンドは一切迷わない。上官に脅されても、仲間に暴行をされても、恋人に説得されても、刑務所行きを前にしてもその信念は一切曲がらなかった。

 

尊敬を通り越して「狂っている」と評した方が正しいだろう。

「銃を持つだけでいい、撃たなければいい」

 

ドロシーの率直なセリフに心を動かされたのは観客だけだった。

 

アメリカの軍隊制度では「徴兵制」と「志願制」がとられている。

良心的兵役拒否者とは、宗教上などの信念に基づき兵役を拒否する者のこと。そんなデズモンドが「なぜ陸軍を志願したのか?」はずっと疑問だった。

 

戦時中の日本人が自ら兵役を望んだように、アメリカでも愛国心をあおって若者を誘導する宣伝活動が活発に行われていたようだ。

 

デズモンドの友人が軍隊に志願したように、青年男子が志願しない選択肢は実質的になかった。

 

平和な日本だと想像もできないが、「周りのすべての友人が戦場に向かったら」と考えると、確かに私も軍隊に志願する気がする。

 

アメリカ国内で反戦運動が高まり、兵役拒否が認められるようになったのは1970年代のベトナム戦争から。アメリカ軍が沖縄に上陸した1945年、武器を所持することを拒否し続けたデズモンドが異例中の異例だったことがわかる。

 

それにしても戦争において「◯◯人を救った」ことで勲章を受けるだなんて聞いたことがない。映画「アメリカン・スナイパー」などでも英雄となった主人公は殺した人の数で讃えられていた。

 

自分の命を守ることで手一杯な戦場では「仲間を1人救ったことがある」人もそんなに多くないのではないか。

 

映画を観る前に「75人の命を救った」と聞いた時、イマイチピンとこなかったが、あの戦場シーンを見るとその偉大さがよくわかる。

 

何度も目を背けたくなった極限状態の戦場をリアルに描いたメル・ギブソン監督には盛大な拍手を贈りたい。

 

映画のラストでトルーマン大統領から勲章を授かったデズモンド。亡くなった今もなお、私たちに平和の大切さを教えてくれた。

 

「戦争反対」「世界平和」

そんなありふれた言葉を1000回聞かされるよりも、この映画を1回見た方が平和であることの素晴らしさを私たちに教えてくれる気がする。

 

この映画が「沖縄戦が舞台」だと宣伝していたらきっと映画館に足を運ぶお客さんは少なかったと思う。映画で「お前の信念は日本兵には通用しない」というセリフが出た時驚いた。

 

でもそれで良かった。

こんな素敵な映画を知れたんだから。

 

 

無粋なツッコミだけど、なぜ日本軍は断崖絶壁のロープを切り落とさなかったのだろうか?あれを切るだけでかなり時間を稼げそうだけど。。

 

 

 

 

 

 

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※本作品の配信情報は2017年7月5日時点のものです。配信が終了している、または見放題が終了している可能性がございますので、現在の配信状況についてはdTVのホームページもしくはアプリをご確認ください。