映画「羊の木」感想・ネタバレ|タイトルの意味は?木の上の羊が5匹だった理由

 

あなたは元殺人犯と一緒に暮らせますか?

映画「羊の木」は人の内面に鋭く切り込んだ作品。

公開初日、上映後の舞台挨拶も見てきたのですが、俳優陣も含めて会場中が異様な空気に包まれていました。

「人生は何度でもやり直せる」

綺麗事かもしれませんが、私はそう考えています。いや、この映画を見るまでそう考えていました。

「羊の木」を1度見ただけですんなり消化できる人はいないはず。

元犯罪者が普通の生活に戻る難しさ、リアルさを感じた作品でした。

  • なぜ羊の木の羊は5匹だったのか
  • 宮腰の殺人を防ぐ方法はなかったのか
  • 身近な生活に元殺人犯がいたらどうする?

決して他人事ではないー。
様々なテーマが織り込まれた作品「羊の木」を振り返ります。

監督の吉田大八さんが舞台挨拶で語った本作のテーマはぜひご覧になってください。

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羊の木 あらすじ

さびれた港町・魚深(うおぶか)に移住してきた互いに見知らぬ6人の男女。

市役所職員の月末(つきすえ)は、彼らの受け入れを命じられた。
一見普通にみえる彼らは、何かがおかしい。
やがて月末は驚愕の事実を知る。

「彼らは全員、元殺人犯」。

それは、受刑者を仮釈放させ過疎化が進む町で受け入れる、国家の極秘プロジェクトだった。

ある日、港で発生した死亡事故をきっかけに、月末の同級生・文(あや)をも巻き込み、
小さな町の日常の歯車は、少しずつ狂い始める・・・。

引用:羊の木

羊の木はハッピーエンドではない

まず残念なのが「羊の木」がハッピーエンドではないということ。

殺人犯を仮釈放するのであれば、殺人を繰り返さないことが最低条件です。

ただ、殺人事件が起こってしまった。しかも3件も。

フィクションの作品ですが、私個人としてはハッピーエンドを期待していたのでそこは残念でした。

私は「人生は何度でもやり直せる」と考えています。

だから、税金の経費削減や過疎地域の活性化はともかく、元犯罪者にチャンスを与えるこの取り組み自体は素晴らしいと思いました。

ただ、国家プロジェクトにしては行政側の対応が雑すぎますね。

魚深市の住民に犯罪歴を伝えないこと自体は問題ない思いますが、定期的なカウンセリングくらいはやるべきだったと思います。

また、月末を守ろうとしなかったもの不可解ですね。

犯罪歴を知っているのが月末だけであれば、月末が襲われやすい立場なのは自明です。ここは何らかの配慮が必要でした。

羊の木に羊が5匹しかいなかった意味

映画の途中、強く気になったのが栗本が拾った「羊の木」の絵

羊はもちろん元殺人犯の6人を意味していますが、木の上の羊は5匹だけ。

これにはどういう意味があったのでしょうか。

「サヨナラじゃないよ。木が生えて、またカメに会えるから」

映画のラスト、月末と宮腰が岬から落ちた後、栗本が作った墓のひとつに芽が出てきていましたね。

そして、この芽はいずれ大きな木に成長していたはずです。

魚深市に送り込まれた6人は、苦労しながらも生活に溶け込みつつありました。

5匹の羊は、普通の生活を取り戻せた5人のことを表しているのではないでしょうか。

つまり、福元、太田、栗本、大野、杉山のことだと思います。

宮腰だけは再び犯罪を犯してしまった。(=芽が出なかった)

杉山については、犯罪を計画していたので5匹の羊に加えるかどうか微妙なところですが、態度は悪くても犯罪は行なっていません。

願わくは、もうちょっと楽しそうな羊を描いて欲しかったですね。

元殺人犯と一緒に暮らせる?

元殺人犯と一緒に暮らせるのか?
「羊の木」の最大のテーマはここです。

6人は元殺人犯ですが、殺した背景は異なります。結果論ですが、宮腰(と杉山)以外は、人生をやり直せるチャンスを与えて正解でした。

ポイントは、魚深市側の人間がどう感じるか。

いくら行政が「問題ない」と判断しても、魚深市の人間が怖がってしまえば終わりです。

6人の元殺人犯はどのような生活を送ったのでしょうか。

福元宏喜(水澤紳吾)のケース

「オレが1番知っていると思うよ、前科者の苦労は。大事なのは居場所があるってことだよ。」

福元は1番恵まれていましたね。理髪店の店長に刑務所歴があることで、心から打ち解けることができました。

正直に打ち明けることで上手くいったパターンです。

この店長さんに前科があることを行政側が知っていたとは思えませんが、こういった元犯罪者の人が社会復帰しやすい場所があると良いですよね。

ラーメンを食べるシーンやお酒を飲むシーンはキャラクターが色濃く出ていて面白かったですね。

太田理江子(優香)のケース

「私はもう2度と人を好きになっちゃいけないんですか?」

艶っぽさ全開だった太田。年齢はかなり離れていますが、すぐに好きな人ができました。

「全部話してくれたよ。聞いても、オレの気持ちは変わらないよ」

太田も、犯罪歴を素直に打ち明けていましたね。

大好きな人に罪を犯したことを伝えるのって、すごく勇気がいることだと思います。

その後、音信不通になってしまうこともありますからね。月末の父が理解ある人で良かったです。

栗本清美(市川実日子)のケース

清掃員として働いている栗本。口数も少なく、1番謎が多い人物でした。

犯罪歴は誰にも打ち明けていません。普通の市民として生活しているようにも見えましたが、、

「私は、、私が怖いです…」

この仮釈放は栗本が望んだものでしょうか?

栗本に選択権はなかったと思いますが、やはりカウンセラーの存在は必要だと思います。

大野克美(田中泯)のケース

「私はアンタが悪い人だなんて、ひとつも肌に感じてないんだけど」

雰囲気抜群の元ヤクザ・大野。元ヤクザの人が、クリーニング屋のおばちゃんにアゴで使われているシーンは面白かったですね。

元ヤクザであることを告白し、一度はクビを宣告された大野ですが、最終的にはクリーニング屋で働けることになりました。

それにしても、クリーニング屋のおばちゃんはいいキャラしていましたね。いるいるこういう人。

「人が肌で感じることは大概正しいです」
大野のこのセリフが大きなヒントですよね。

犯罪歴があろうが、なかろうが、つまるところ「その人と一緒にいたいかどうか」

信頼関係ができれば元犯罪者でも一緒に生活できますし、一緒にいたいと思わなければ犯罪歴がない人でも楽しく生活することは難しいです。

杉山勝志(北村一輝)のケース

うーん、、杉山は魚深市の生活に馴染めなかったですね。

「変われない人もいる」

そんな人間らしい部分を1人で担っていました。

どう考えても田舎向きではありませんが「話し相手」がいれば違った結果になったのではないでしょうか。

のろろ祭りを途中で抜け出していましたが、あのイベントは僕でも抜け出しますw

子供達の「のろろ遊び」はシュールでしたねw

宮腰一郎(松田龍平)のケース

最悪の結果を生んでしまった宮腰の釈放。

街にすんなり溶け込んだように見えた宮腰だけが再び人を殺してしまったことが、殺人犯の釈放の難しさを象徴しています。

「ゴメン、いまでも人殺し。昨日も、おとといも、そしてこれからも」

人生は何度でもやり直せると考える私ですが、宮腰を見ているとそんな単純な話ではないんだと感じます。

宮腰は魚深市で平穏に暮らすことを望んでいたはずです。一方、人を殺すことへの心理的なハードルが著しく低いのが宮腰の欠点です。

人を殺すことに何の感情も抱かない人が更生するのは難しいですよね。杉山を車でひいた後、バックで顔を踏み潰しにいったシーンは怖かったですね。

2人を殺した後にアヤと会った時、アヤが強く怯えていました。

きっと殺人犯特有の何かを肌で感じたんでしょうね。

福元、太田、大野とちがって全てを知ったアヤだけは受け入れることができませんでした。

宮腰本人から聞かされていたら、違った結果になったかもしれませんね。

アヤに伝えてしまった月末の行為は良くないことでしたが、実際の生活でこのぐらいのトラブルは想定範囲内でしょう。

ハッピーエンドではない「羊の木」ですが、リアルなアヤという人物がいることでバランスが保たれました。

受け入れられなかったアヤが悪いのではなく、これも正常な反応だと思います。

「分かったから付き合うんじゃなくて、分かりたいから付き合うんじゃないの?」

アヤのこの言葉は心に響きますね。

映画「羊の木」のテーマは?

この映画の1番のテーマは何かと考えていました、舞台挨拶の最後に、監督の吉田大八さんがこんなことを話していました。

「分からなくても信じる。その方が疑うよりも生きていて楽しい人生を歩めるはずだ」

月末が宮腰に「海を見に行こう」と誘われたとき、なぜ断らないのかが疑問でした。どう考えても危ないですからね。海に行く理由なんてありませんから。

それでも、月末はついていった。それは友達の宮腰を信じていたから。

最終的には宮腰に裏切られることになりましたが、人を信じることができる月末にはこれからも素敵な人生が待っているはずです。

「過去よりも未来に向けた方がいいんじゃないか」

無責任な月末の上司ですが、このセリフはその通りだと思います。

映画「羊の木」の評判

最後に、気になった感想ツイートをいくつかまとめておきます。

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羊の木:原作1巻が無料

この映画は「いがらしみきおさん 」と「山上たつひこさん」がタッグを組んだマンガを題材としています。

原作では市長が主人公だったり、魚深市に送り込まれる受刑者が11人だったり、アヤが登場しなかったりと設定が全く違います。

いまなら「Kindleで第1巻無料」なので、ぜひ読んでみてください。

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羊の木が面白かったら

「羊の木」を面白いと思った方は、吉田大八監督の他の作品もぜひ触れてみてください。

特に「桐島、部活やめるってよ」「紙の月」は人間の内面に鋭く切り込む傑作です。

2作品をまとめて楽しめるのは「Hulu」だけ!

いまなら「2週間無料」で視聴できます。「桐島、部活やめるってよ」は数年前の作品のため配信が終了する可能性があります。

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