感想|秒速5センチメートルが こんなにも切ない映画だなんて想像もしていなかった。

いい映画に出会えた。
最初から最後までずっと切なかった。

まさか、最後まで切ないまま終わるとは思わなかった。

主題歌「one more time, one more chance」が流れて、ふたりが育ってきた情景が映し出されて、、

知らない旦那さんが目に飛び込んできた時、ドキッとした。

え…。
思わず巻き戻した。

知らない男性だった。
幸せそうだった。
絶対にハッピーエンドで終わると思った。

2人がどこで再開するのか、
ずっとドキドキしながら見守っていた。

秒速5センチメートル。

ゆっくり、ゆっくり。
ほんの少しだけど、積み重ねていくと、取り返しもつかないくらい大きな距離になるんだね。

秒速5センチメートル第1話「桜花抄」

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秒速5センチメートルって何のことだろう?
その答えは映画が始まってすぐにわかった。

桜の花びらが舞い落ちるスピード
考えたこともなかった。

主人公は2人。
遠野貴樹と篠原明里。

小説に書かれた言葉をそのまま吐き出したような文学的な映画だった。

耳が痛くなるくらい押し付けた受話器ごしに、明里が傷つくのが手に取るようにわかった。でも、どうしようもなかった。

駅と駅との間は信じられないくらい離れていた。電車は信じられないくらい停車した。

言葉遊びといった表現では全然足りない、
その、ちょっと大人びた言葉の数々に魅了された。

まだ中学1年生なのにね。笑
ヒトはどうしたら大人になるのかな。

中学生は心の年齢の振れ幅が一番大きい年頃。
心の成長が早い人は何がちがうんだろう。

彼女からの文面は全て覚えた。
明里に伝えたいこと。
聞いて欲しいことが僕にはたくさんあった。

手紙から想像する明里はなぜかいつもひとりだった。

時間ははっきりした悪意を持って僕の上をゆっくり流れていった。僕はきつく歯を食いしばり、ただとにかく泣かないように耐えているしかなかった。

映画の中で遠野君の本気の笑顔を一回も見ていない。小学生のときからずっと、どこか晴れない表情だ。

ねえ、まるで雪みたいじゃない?

その瞬間、永遠とか心とか魂とかいうものがどこあるかわかった気がした。

僕を捉えたその不安はやがてゆるやかに溶けていき、あとには明里のやわらかな唇だけが残っていた。

…本当に中学1年生だよね?笑

朝、動き始めた電車に乗って僕は明里と別れた。彼女を守れるだけの力が欲しいと、強く思った。

それだけを考えながら、僕はいつまでも窓の外の景色を見続けていた。

スマホも携帯もない時代。
手紙だけのやりとり。

栃木と鹿児島。
中学1年生の二人には遠すぎたみたい。

でも、いつか結ばれると。
この時はまったく疑わなかった。

秒速5センチメートル第2話「コスモナウト」

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舞台は変わって鹿児島へ。

全く違う話になるんじゃないかと怖かった。つながっていて良かった。

このままじゃ卒業まで言えないじゃない。

第2話は遠野を見つめる女の子の視点で進行していく。始まってすぐ、この女の子の願いが絶対に叶わないとわかって切なくなった。

きっと私に犬みたいな尻尾があったら、きっと嬉しさを隠しきれずにブンブンと振ってしまったと思う。

恥ずかしくなるくらい微笑ましいやり取りも、どこか悲しく聞こえてしまう。

遠野君はときどき誰かにメールを打っていて、その度に私は、それが私宛のメールならいいのにって、どうしてもいつも思ってしまう。

どうして第2話はこんなに残酷なんだろう。この女の子はずっと遠野を見ているのに、遠野はずっとどこか遠くを見ている。

それは本当に想像を絶するくらい孤独な旅であるはずだ

本当の暗闇の中をただひたむきに、ひとつの水素原子にさえめったに出会うことなく、

ただただ深淵にあるはずと信じる世界の秘密に近づきたい一心で、僕たちはそうやってどこまでいくのだろう

どこまでいけるんだろう

出す宛のないメールを打つ癖がついた
いつからだろう

波に乗れた。今日言わなければこの先もきっと、ずっと言えない。

お願いだから、もう優しくしないで
私が遠野君に望むことはきっと叶わない。

それでも、それでも私は遠野君のことを、
きっと明日も明後日も、その先もやっぱり、
どうしようもなく好きなんだろうと思う。

始まった直後からわかっていた結末だった。

この予想を裏切って欲しい。
そっと心の中で願ったけど、そんな気持ちに全く寄り添うことなく物語は進んでいった。

遠野君のことだけを思いながら泣きながら私は眠った。

秒速5センチメートル第3話

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今振り返るときっと、あの人も振り返ると強く感じた

すぐにあの人が出てきた。
ずっと出てきて欲しいと思ったあの人。

これで、結ばれる。そう信じて疑わなかった。
季節は流れて、すっかり大人の顔つきをしていた。

夕べ、昔の夢を見た。
私もあなたもまだ子どもだった。
きっと昨日見つけた手紙のせいだ

あの人は、まだ遠野のことを覚えていた
中学1年生の頃の思い出は、そんなに色濃く残っているものだろうか。

あなたのことはいまでも好きです

ずっと聞きたかったその言葉を口に出したのは、ちがう女の人だった。

でも私たちは、きっと1000回もメールをやり取りして、心は1センチくらいしか近づけませんでした。

たった数行なのに、この女の人の悔しくて、寂しい気持ちが痛いほど伝わってきた。

この数年間とにかく前に進みたくて、
届かないものに手を触れたくて、
それが具体的に何を指すのかも、

ほとんど脅迫的ともいえるようなその思いがどこから湧いているかもわからずに、

ぼくはただ働き続け、気づけば日々弾力を失っていく心がひたすら辛かった。

主題歌「One more time, One more chance」が流れる。

 そうやっていつかまた一緒に桜を見ることができると、私も彼も何の迷いもなくそう思っていた。

あんなに心が近くにあったのに、いまも変わらず好きでいるのに、こんなにも遠い。

こんなことなんてあるんだね。
いや、これが普通なのかな?

最後に少しだけ映ったあの女の人はとっても幸せそうだった。いつかきっと、遠野くんも幸せになって欲しい。

届かない恋。叶わない恋。報われない恋。

青春映画でハッピーエンドにならないことがあるんだと驚いた。

最後はきっと幸せになる。
そう信じていて、手に届かないことがあるとわかって切なくなった。

でも、だからこそ、いまある幸せを噛みしめたい。
遠野くんにも幸せになって欲しい。

そう、強く願った。
いい映画に出会えた。

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※本作品の配信情報は2017年7月5日時点のものです。配信が終了している、または見放題が終了している可能性がございますので、現在の配信状況についてはdTVのホームページもしくはアプリをご確認ください。  

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